まだネットワークが一般的でなかった時代,オフィスを動かすためのものがパソコン,ではなかった時代に,今ほとんどの人がウェブを日常的に使っているのと同じ土台を持ち合わせていた道具があった。
ハイパーカードの開発者であるビル・アトキンソン氏は,ハイパーカードを世界初のインターネット・ブラウザにできたかもと残念がっている。アトキンソン氏をはじめ,多くの人がいまだにハイパーカードを使い続けている(WIRED NEWSの記事)。
懐かしいなぁ,ハイパーカード。今から10年くらい前だろうか,私もハイパーカードを使っていろいろなものを作って遊んでいた。プログラミングの知識も技量もなかったが,ハイパーカードを使えば簡単なデータベーススタックなどすぐに作ることができたし,ページ物のデジタル・ブックも簡単に作れた。パソコンで,手軽に「ものを作る楽しさ」を感じさせてくれた,そんな道具だった。そして,よくよく考えると,今のウェブと似た形態だったことを思い出す。
それぞれのカードを作成し,場合によっては音声や画像,動画なども貼り込めて,そのカード同士をクリックひとつで移動できるリンクボタンでつなげる。…ネットワークという要素さえ付け加えられれば,ウェブそのものだったかもしれない。センシティブで,包容力があり,誰でも気軽に接することができる優しさを持っていた。モザイクなどにも多少は影響を与えているのでは? とも思うけど。
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